大切なご家族を亡くされた後、悲しみの中で向き合わなければならないのが「相続手続き」です。
「一体いつまでかかるの?」
「何から手を付ければいいかわからない」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
相続は、単に名義を変えるだけの作業ではありません。そこには、これまでのご家族の歩みや、これからの生活を守るための大切なステップが含まれています。
この記事では、相続手続きにどれくらいの期間がかかるのか、スケジュールや遅れてしまう原因、そしてスムーズに進めるためのポイントを、司法書士の視点から解説します。
相続手続きにかかる期間の全体像は?
相続手続きにかかる期間は、ご家族の状況や財産の内容によって大きく変わりますが、一般的には「3ヶ月から1年程度」がひとつの目安となります。
なぜこれほど幅があるのかというと、相続には「必ずやらなければならない期限のある手続き」と「期限はないけれど放置するとリスクがある手続き」が混在しているからです。
段階別の目安期間
大きく分けると、以下の3つのステップで進んでいきます。
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準備期間(1ヶ月〜2ヶ月): 遺言書の確認、相続人の調査(戸籍集め)、財産の調査。
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話し合いの期間(1ヶ月〜数ヶ月): 遺産分割協議(誰が何を継ぐか決める)。
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名義変更・完了期間(1ヶ月〜2ヶ月): 不動産登記や預貯金の払い戻し。
争いがなく、財産の内容がシンプルな場合は3ヶ月程度で終わることもありますが、相続人が遠方にいたり、面識のない親族がいたりする場合は、1年以上かかることも珍しくありません。
【STEP1】相続人の特定と財産調査にかかる期間
まず最初に行うのが「誰が相続人か」を確定させ、「どんな財産があるか」を調べる作業です。ここがすべての土台となります。
戸籍謄本の収集(1週間〜1ヶ月)
亡くなった方の出生から死亡までのすべての戸籍謄本を集める必要があります。
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スムーズなケース: ずっと同じ市区町村に住んでいた場合は、1箇所の役所で揃うため1週間程度で終わります。
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時間がかかるケース: 結婚や転勤で本籍地を何度も変えている場合、全国各地の役所に郵送で請求しなければなりません。往復の郵送期間を含めると、1ヶ月近くかかることもあります。
遺産の把握(2週間〜1ヶ月)
通帳の記帳、郵便物のチェック、不動産の権利証の確認などを行います。
最近では「ネット銀行」や「電子証券」など、紙の通帳がない財産が増えており、スマホやパソコンを確認する必要があるため、以前よりも調査に時間がかかる傾向にあります。
【STEP2】遺産分割協議(話し合い)にかかる期間
相続人全員で「誰がどの財産をもらうか」を話し合います。これを「遺産分割協議」と呼び、全員の合意が必要です。
協議がスムーズに進む場合(1ヶ月程度)
「自宅はお母さんが、預金は子供たちで分ける」といった方針が事前に決まっている場合は、話し合い自体はすぐに終わります。
その後、司法書士などが作成した「遺産分割協議書」に全員が署名・押印する期間を含めて、1ヶ月程度が目安です。
協議が長引く場合(3ヶ月〜1年以上)
以下のようなケースでは、期間が大幅に延びてしまいます。
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相続人の一人が反対している: 一人でも納得しないと、手続きは一歩も前に進めません。
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相続人が海外や遠方に住んでいる: 書類のやり取りに時間がかかります。
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認知症の方がいる: 「成年後見人」を選任する必要があり、裁判所の手続きだけで数ヶ月かかります。
【STEP3】不動産や預貯金の名義変更にかかる期間
話し合いがまとまったら、いよいよ目に見える形での手続きに入ります。
不動産の相続登記(1週間〜2週間)
法務局へ申請を出してから、新しい登記識別情報(権利証)が出来上がるまで、約2週間程度です。
※2024年4月から相続登記の申請が義務化されました。期限は「相続を知った日から3年以内」ですが、放置すると後で大変な思いをすることになるため、早めの対応をおすすめします。
預貯金の解約・払い戻し(2週間〜1ヶ月)
銀行の窓口に必要書類を提出してから、指定の口座に振り込まれるまで、通常1〜2週間程度です。
ただし、金融機関ごとに必要書類が異なるため、不備があると何度も足を運ぶことになり、1ヶ月以上かかってしまうこともあります。
注意が必要な「期限」がある手続き
相続には、法律で決められた厳しい期限がいくつかあります。ここを過ぎると、不利益を被る可能性があるため注意が必要です。
相続放棄の期限(3ヶ月以内)
もし亡くなった方に借金が多い場合、「相続しない」という選択(相続放棄)ができます。
これは「相続開始を知った時から3ヶ月以内」に家庭裁判所へ申し立てる必要があります。
相続税の申告期限(10ヶ月以内)
一定以上の財産がある場合、相続税の申告と納税が必要です。
これは「亡くなった日の翌日から10ヶ月以内」です。
この期限を1日でも過ぎると、本来払わなくて済んだはずの加算税や延滞税がかかってしまうことがあります。
相続手続きを遅らせてしまう「よくある落とし穴」
なぜ、予定よりも時間がかかってしまうのでしょうか。現場でよく目にする事例をご紹介します。
遺言書の種類による手続きの違い
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公正証書遺言: すぐに手続きに使えます。
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自筆証書遺言(自宅保管): 裁判所で「検認」という手続きを受ける必要があり、これに1ヶ月〜2ヶ月かかります。これを知らずに勝手に開封してしまうと、過料(罰金)の対象になることもあるので注意してください。
疎遠な親族の存在
「会ったこともない親戚」が相続人の中にいることが判明した場合、まずは手紙を出して連絡を取るところから始めなければなりません。
返信を待つ期間や、説明に要する期間を考えると、半年以上の長期戦を覚悟する必要があります。





