養子縁組をしている場合の相続分はどうなる?法定相続分のルール

「養子縁組をしているけれど、将来の相続でトラブルにならないかしら?」

「自分は養子だけど、実の両親の財産も受け取れるの?」

そんな不安を抱えていませんか。相続の手続きは、ただでさえ複雑で「難しい言葉ばかりで頭が痛くなる」と感じる方も多いものです。

特に養子縁組が関わると、法律上の親子関係が二重になったり、特定の権利が発生したりと、より慎重な確認が必要になります。

この記事では、養子縁組をしている場合の相続分がどうなるのかについて、解説します。

そもそも「養子」は実子と同じ権利を持つの?

法律上、養子は「実子(実のご子息)」と全く同じ相続権を持ちます。

「血がつながっていないから、実の子よりも取り分が少ないのでは?」と心配される方がいらっしゃいますが、そんなことはありません。

民法という法律では、養子縁組が成立したその日から、養子は養親(養子を迎えた親)の嫡出子(実子と同じ扱いの子供)としての身分を取得すると定められています。

相続分に差はつかない

例えば、養親に実子が1人、養子が1人いる場合、それぞれの相続分は平等に「2分の1ずつ」となります。

「実の子だから優先」といった不平等はありません。

これは、養子縁組という制度が、血縁を超えて「新しい家族の絆」を法律で保護するためのものだからです。

普通養子縁組と特別養子縁組の違い

一口に「養子」と言っても、実は2つの種類があるのをご存知でしょうか。

どちらのタイプかによって、「実の両親(生みの親)」の財産を相続できるかどうかが大きく変わります。

ここが混乱しやすいポイントですので、整理してみていきましょう。

1. 普通養子縁組(ふつうようしえんぐみ)

日本で一般的に行われている養子縁組の多くがこちらです。

結婚して配偶者の親と養子縁組をする「婿養子」や、孫を養子にするケースなどが含まれます。

  • 関係性: 実の親との親子関係も残したまま、養親とも親子関係を結びます。

  • 相続権: 「養親」と「実親」の両方から相続する権利があります。

2. 特別養子縁組(とくべつようしえんぐみ)

原則として6歳未満(例外あり)の子供が、家庭裁判所の審判によって実親との法的な関係を完全に断ち切り、養親の実子として育てられる制度です。

  • 関係性: 実の親との親子関係は消滅します。

  • 相続権: 「養親」からのみ相続します。実親からの相続権はなくなります。

ご自身やご家族がどちらの形式か分からない場合は、戸籍謄本を確認することで判別が可能です。

パターン別:養子がいる場合の具体的な法定相続分

言葉だけではイメージしづらいですよね。

具体的な家族構成を例に、誰がどのくらいの割合で財産を受け取ることになるのか(法定相続分)を見ていきましょう。

ケース①:養親に配偶者と養子が1人いる場合

  • 配偶者:2分の1

  • 養子:2分の1

(もし実子が1人加われば、子供たちの枠である2分の1を、養子と実子で等分して「4分の1ずつ」となります)

ケース②:孫を養子にしている場合(孫養子)

節税対策や、跡継ぎを確実にするために「孫」を養子にすることがあります。この場合、孫は「子供」の1人としてカウントされます。

  • 注意点:もし孫の親(被相続人の子)が健在な場合、その親(子)と、養子になった孫の両方が相続人になります。

  • 相続分:他の子供たちと同じ割合。

ケース③:養子に子供がいる場合(代襲相続)

もし、養親が亡くなる前に養子が亡くなっていた場合、養子の子供(養親から見た孫)が代わりに相続できるのでしょうか?

ここには「時期」という少し難しいルールがあります。

  • 養子縁組の後に生まれた子供: 代襲相続人になれます。

  • 養子縁組をする前にすでに生まれていた子供: 原則として代襲相続人になれません。

これは「養子縁組によって、その子供まで養親の親族になるかどうか」という法的な境界線があるためです。

「養子の数」に制限はあるの?

「相続人が増えれば、基礎控除額(非課税枠)が増えるから、たくさん養子を迎えればいいのでは?」と考える方もいるかもしれません。

しかし、無制限に認めてしまうと公平性が保てなくなるため、相続税の計算上は人数制限が設けられています。

  • 実子がいる場合: 養子は1人までカウント可能。

  • 実子がいない場合: 養子は2人までカウント可能。

※これはあくまで「税金の計算(基礎控除)」の話です。

民法上の相続権(遺産をもらう権利)については、何人養子がいても全員に平等にあります。

養子縁組をめぐるトラブルと注意点

残念ながら養子縁組が原因で親族間のトラブルに発展するケースが少なくありません。

特に以下の2点には注意が必要です。

1. 他の相続人からの反発

「急に知らない養子が現れて、自分の取り分が減った」という不満は、相続争いの火種になります。

特に、再婚相手の連れ子を養子にしたり、特定の親族だけを養子にしたりする場合は、事前によく説明しておくことが望ましいです。

2. 遺留分(いりゅうぶん)の侵害

養子にも当然「遺留分(最低限保障される相続分)」があります。

遺言書で「実子にすべて譲る」と書いても、養子は自分の権利を主張して、遺留分を取り戻す請求(遺留分侵害額請求)ができてしまいます。

養子がいる相続で「やっておくべき準備」3選

トラブルを防ぎ、スムーズな相続を実現するために、今からできる具体的な対策をお伝えします。

1. 戸籍謄本を揃えて「関係性」を可視化する

まずは、ご自身や家族の戸籍を一度すべて取得してみることをお勧めします。 「いつ、どのような形式で養子縁組がなされたのか」を正確に把握することが、すべてのスタートラインです。

2. 遺言書(公正証書遺言)を作成する

養子がいる場合、最も有効な対策は「遺言書」です。

「実子も養子も、みんなで仲良く暮らしてほしい」というメッセージ(付言事項と言います)を添えた遺言書を残すことで、残された方々の心理的なハードルを下げることができます。

また、特定の財産を誰に継がせたいかを指定しておくことで、遺産分割協議(話し合い)での衝突を防げます。

3. 特別受益(とくべつじゅえき)の整理

養子縁組の際や、その後の生活で、特定の子供(または養子)だけに多額の贈与をしていませんか?

「養子に入るときに家を建ててもらった」「学費を出してもらった」といった事情は、相続の際に「特別受益」として考慮される場合があります。

これらを整理しておかないと、他の相続人から「不公平だ」と不満が出る原因になります。

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