公正証書遺言を作るメリット・デメリット|後悔しないための「究極の安心」ガイド

「家族に苦労をかけたくない」

「自分の思いを確実に届けたい」

そう考えたとき、真っ先に候補に挙がるのが「公正証書遺言(こうせいしょうしょいごん)」です。

司法書士の視点から見ても、公正証書遺言は数ある遺言形式の中で「最も安全で、最も家族に優しい」方法だと言えます。

しかし、いざ作ろうとすると「費用が高いのでは?」「手続きが面倒そう」「公証役場って何だか怖そう……」といった不安も尽きないものです。

特に、大切なご家族の将来を真剣に考えていらっしゃるシニア世代の皆様にとって、形式選びは一生に一度の大きな決断ですよね。

この記事では、公正証書遺言のメリット・デメリットを解説します。

そもそも「公正証書遺言」とは?

遺言書には、自分で書く「自筆証書遺言」などいくつか種類がありますが、公正証書遺言は

「公証役場」という公的な機関で、法律のプロである「公証人(こうしょうにん)」が作成する遺言書のことです。

 公正証書遺言の「圧倒的なメリット」 5選

なぜ、多くの専門家が公正証書遺言を勧めるのでしょうか? それは、他の形式にはない「5つの安心」があるからです。

① 形式不備で「無効」になるリスクがほぼゼロ

自筆証書遺言で最も多い悲劇は、亡くなった後に「日付が抜けている」「押印がない」といった些細なミスで、遺言書が無効になってしまうことです。

公正証書遺言は、法律の専門家である公証人が作成するため、形式的な不備で無効になることはまずありません。

あなたの「こうしたい」という願いが、確実に法的な力を持つことになります。

② 紛失・改ざん・隠匿の心配がない

作成した遺言書の「原本」は、公証役場で厳重に保管されます。

  • 自宅で保管していて失くしてしまった

  • 誰かに勝手に書き換えられた

  • 都合の悪い親族に捨てられた

    といったトラブルは、公正証書遺言では起こり得ません。万が一、手元の控え(正本・謄本)を失くしても、再発行が可能です。

③ 「検認(けんにん)」の手続きが不要

これが、残されたご家族にとって最大のメリットかもしれません。

自筆証書遺言の場合、亡くなった後に家庭裁判所で「検認」という手続きを受けなければなりません。これには数ヶ月の時間がかかり、その間、銀行口座の凍結解除や不動産の名義変更が一切できません。

公正証書遺言なら、検認なしで、亡くなった直後からスムーズに相続手続きを開始できます。

④ 「本人の意思」であることが公的に証明される

「認知症だったのではないか?」「誰かに無理やり書かされたのではないか?」

相続争いでよくあるこうした主張に対しても、公正証書遺言は強い防御力を持ちます。

公証人が直接本人と面談し、本人確認と意思確認を行った上で作成するため、「本人が自分の意思で、しっかりした状態で作成した」という証拠になります。

⑤ 身体が不自由でも作成できる

自筆証書遺言は、目が見えにくかったり、手が震えて字が書けなかったりすると作成が困難です。

しかし、公正証書遺言は公証人が代筆(作成)してくれるため、文字が書けない方でも、口頭で意思を伝える(口授)ことができれば作成可能です。

知っておきたい「公正証書遺言のデメリット」

① 費用(公証人手数料)がかかる

これが最大のデメリットと感じる方が多いかもしれません。

財産の額や相続人の数に応じて、公証役場に支払う手数料が決まります。一般的には数万円〜十数万円程度かかるケースが多いです。「安心を買うための保険料」と捉えることもできますが、自筆(0円)と比べると負担は大きくなります。

② 証人(しょうにん)が2人必要

作成の際、公証役場に「証人」として2人の立ち会いが必要です。

ただし、推定相続人(財産をもらう予定の人)やその配偶者、直系血族は証人になれません。また、他人に遺言の内容を知られることになるため、プライバシーを気にする方もいらっしゃいます。

※多くの場合は、守秘義務のある司法書士などの専門家や、その事務員が証人を務めることでプライバシーを守ります。

③ 手続きに時間と手間がかかる

思い立ってすぐに書ける自筆とは違い、公正証書遺言は事前の準備が必要です。

  • 戸籍謄本や登記事項証明書(登記簿)などの資料収集

  • 公証人との事前の打ち合わせ

  • 予約をして公証役場へ出向く(※病気などの場合は出張も可能です)

    このように、完成までには通常2週間〜1ヶ月程度の時間がかかります。

④ 内容を完全に「秘密」にはできない

公証人と2人の証人に内容が知られることになります。「誰にも、一文字たりとも見られたくない」という方には不向きです。

公正証書遺言作成までの「5ステップ」

「何から始めればいいの?」という方のために、大まかな流れをまとめました。

  1. 【準備】財産と相続人をリストアップする

    誰に何を渡したいか、メモ書きで構いませんので整理しましょう。

  2. 【相談】司法書士などの専門家に相談する

    公証役場へ直接行くことも可能ですが、内容の検討や書類の収集、証人の手配などをスムーズに行うため、まずは司法書士に相談することをお勧めします。

  3. 【案文作成】遺言書の原案を作る

    あなたの意向を反映した「下書き」を専門家が作成し、公証人と内容を詰め合わせます。

  4. 【当日】公証役場へ行き、署名・捺印する

    予約した日に、証人2人と共に公証役場へ行きます。公証人が内容を読み上げ、間違いがなければ署名・捺印をして完了です。

  5. 【保管】謄本を持ち帰る

    出来上がった遺言書の「謄本(コピーのようなもの)」を受け取ります。原本は役場に保管されます。

公正証書遺言をお勧めの方

特に以下のような状況にある方は、自筆ではなく公正証書を選ぶことを推奨します。

  • 子供がいない夫婦(配偶者と義父母・義兄弟が揉めるケースが非常に多いため)

  • 特定の子供に、家を継がせたい・多めに財産を残したい

  • 再婚しており、先妻(先夫)との間にも子供がいる

  • 相続人以外(孫や、お世話になった知人)に財産を遺したい(遺贈)

  • 認知症の疑いを持たれる可能性がある(公証人の確認が盾になります)

  • 財産の中に「不動産」がある(名義変更手続きが格段に楽になります)

この記事が遺言作成のきっかけになりましたら幸いです。

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