戸籍謄本は「全部事項証明書」と「除籍謄本」どちらが必要?相続手続きで迷わないためのガイド

「亡くなった父の預金解約に行ったら、戸籍謄本を揃えてくださいと言われたけれど……種類が多くて何がなんだかわからない」

そんなお悩みをお持ちではありませんか?

役所の窓口で「全部事項証明書」や「除籍謄本」、「改製原戸籍」といった難しい言葉を並べられ、戸惑ってしまう方は少なくありません。

実は、相続の手続きにおいて「どの戸籍が必要か」は、「誰が亡くなり、誰が相続人なのか」を証明するという目的によって決まります。

この記事では、戸籍の種類の違いや、なぜ複数の種類が必要になるのかを解説します。

そもそも「戸籍」にはどんな種類があるの?

戸籍と一言で言っても、実はいくつかの種類に分かれています。

まずは、よく耳にする「全部事項証明書」と「除籍謄本」の違いから見ていきましょう。

現在の戸籍:「全部事項証明書(戸籍謄本)」とは

「全部事項証明書」とは、簡単に言うと「現在、その戸籍に入っている人全員の身分関係を証明する書類」です。

昔は紙で管理されていたため「戸籍謄本(こせきとうほん)」と呼ばれていましたが、現在はコンピューター化されたため「全部事項証明書」という名称が正式なものになりました。

  • いつ使う?: 存命の方の現在の氏名、生年月日、親子関係などを証明するとき。

  • 特徴: その家族の「今」の姿が写し出されています。

役目を終えた戸籍:「除籍謄本」とは

「除籍(じょせき)」とは、その戸籍にいた人が結婚や死亡、転籍(本籍地を移すこと)によって、全員いなくなった状態を指します。

  • いつ使う?: 亡くなった方の死亡の事実を確認したり、その方にどんな子供がいたかを遡って調べたりするとき。

  • 特徴: 全員に「除籍」というバツ印(または記載)がついた状態の記録です。

 忘れてはいけない「改製原戸籍(かいせいはらこせき)」

ここが一番のつまずきポイントかもしれません。

法律が変わって戸籍の様式が新しくなったとき、古い様式の戸籍は「原戸籍(はらこせき)」として保存されます。

昭和の終わりや平成の初期にコンピューター化された際の「平成改製原戸籍」などが代表的です。

「今の戸籍があれば十分じゃないの?」と思われるかもしれませんが、実は新しい戸籍には、古い戸籍に書かれていた「離婚歴」や「先に亡くなった子供の情報」などが引き継がれないことがあるのです。

なぜ相続では「全部」も「除籍」も両方必要なの?

銀行や法務局へ行くと、「亡くなった方の出生から死亡まで全ての戸籍を持ってきてください」と言われます。なぜ、最新の「除籍謄本」だけでは足りないのでしょうか。

「隠れた相続人」がいないかを確認するため

相続手続きの最大の目的は、「法律で定められた相続人が誰であるかを確定させること」です。

例えば、亡くなったお父様に、前妻との間に子供がいた場合や、認知している子供がいた場合、その方々も立派な相続人となります。これを知らずに手続きを進めてしまうと、後から大きなトラブルに発展しかねません。

最新の戸籍(除籍謄本)には、その時点での家族しか載っていません。そのため、お父様が生まれた時まで戸籍を一つずつ遡り、「他に子供はいないか」をパズルのピースを埋めるように確認していく作業が必要なのです。

繋がりの証明(リレー形式の確認)

戸籍は、古いものから新しいものへとリレーのように繋がっています。

  • A市からB市へ本籍を移した。

  • 結婚して親の戸籍から抜けた。

  • 法律が変わって書き換えられた。

これらの履歴をすべて繋げることで初めて、「この亡くなったAさんと、相続人であるBさんは、間違いなく親子である」という公的な証明が完成します。

ケース別:あなたが集めるべき戸籍のチェックリスト

ご自身の状況に合わせて、どの戸籍が必要になるかを確認してみましょう。

ケースA:配偶者や子供が相続人の場合

一番オーソドックスなケースです。

  1. 被相続人(亡くなった方)の戸籍

    出生から死亡までの一連の戸籍(除籍謄本、改製原戸籍、全部事項証明書)

  2. 相続人全員の戸籍

    現在の全部事項証明書(現在の状況を確認するため)

ケースB:亡くなった方に子供がおらず、親や兄弟が相続人の場合

このケースでは、集める範囲がぐっと広がります。

  1. 被相続人の戸籍(出生から死亡まで)

  2. 被相続人の父母の戸籍(出生から死亡まで)

    兄弟が誰であるかを確定させるために、親の世代まで遡る必要があります。

  3. 相続人(兄弟姉妹)の現在の戸籍

戸籍を取り寄せる際の3つのステップ

では、具体的にどうやって戸籍を集めればいいのでしょうか。

ステップ1:本籍地を確認する

戸籍は「住所地」ではなく「本籍地」のある市区町村役場で管理されています。

もし本籍地がわからない場合は、住民票を「本籍地記載あり」の条件で取得すれば確認できます。

ステップ2:役所の窓口または郵送で請求する

最近ではマイナンバーカードを使ってコンビニで取得できるものもありますが、「遡りの戸籍(古いもの)」はコンビニでは取れません。

窓口へ行くか、遠方の場合は郵送で取り寄せます。

ステップ3:伝え方にコツがあります

窓口で「除籍謄本をください」と言うだけでは、必要なものが揃わないことがあります。

相続手続きに使いたいので、〇〇(亡くなった方)の出生から死亡まで繋がるものを一式ください」 と伝えると、担当者が過去の記録を調べて必要な分を揃えてくれます。

令和6年からの「広域交付」を活用しよう

2024年(令和6年)3月から、戸籍の「広域交付制度」が始まりました。 これまでは各地の役所に個別に請求しなければなりませんでしたが、最寄りの役所の窓口一箇所で、全国の戸籍をまとめて請求できるようになったのです。

ただし、以下の点には注意が必要です。

  • 本人が窓口に行く必要がある(代理人や郵送は不可)。

  • 発行までに時間がかかる場合がある。

  • 一部の古い戸籍は対象外となることがある。

非常に便利な制度ですので、活用を検討してみてください。

まとめ:戸籍集めは無理をせず一歩ずつ

戸籍集めは、相続手続きの「最初の一歩」でありながら、最も時間がかかり、精神的にも負担が大きい作業です。

  • 今の戸籍だけでなく、過去の戸籍(除籍・原戸籍)が必要。

  • それは、隠れた相続人がいないかを証明するため

  • 最近は広域交付で便利になったけれど、手間はかかる。

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