「父が亡くなったけれど、遺言書を残していると言っていた気がする……」
「公正証書で作ったはずだけど、現物が見当たらない。どうやって探せばいいの?」
大切なご家族が亡くなった後、遺品整理の中で「遺言書」が見つからないという状況は、実は珍しいことではありません。
特に「公正証書遺言」は、公証役場で厳重に保管されているものですが、ご自宅に控え(正本や謄本)がないと、残されたご家族はどう動けばいいのか途方に暮れてしまいますよね。
「もし見つからなかったら、話し合いがまとまらないかも……」
「勝手に中身を見てもいいの?」
この記事では「亡くなった方の公正証書遺言を検索する具体的なステップ」を、解説します。
公正証書遺言は「検索」できるって本当?
公正証書遺言は「遺言検索システム」を使って、全国どこの公証役場からでも探すことが可能です。
昔は、作成した公証役場まで足を運ばなければ確認できないこともありましたが、現在は日本公証人連合会が管理するシステムによって、スピーディーに検索できるようになりました。
公正証書遺言が「安心」と言われる理由
そもそも、なぜ公正証書遺言が見つかりやすいのでしょうか。それは、自筆で書く「自筆証書遺言」とは異なり、原本が必ず「公証役場」に保管されるからです。
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紛失の心配がない: 自宅で紛失しても、役場に原本がある。
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改ざんを防げる: 第三者が内容を書き換えることは不可能。
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検索性が高い: 昭和54年以降に作成されたものであれば、データで管理されている。
「どこにあるかわからない」という状況でも、このシステムがあるおかげで、正当な権利を持つ相続人であれば必ずたどり着けるようになっています。
遺言検索システムを利用するための条件
誰でも他人の遺言を検索できるわけではありません。プライバシーと意思を尊重するため、検索には一定の条件があります。
① 本人が亡くなっていること
ご存命の間は、たとえ家族であっても検索することはできません。これは、遺言の内容は究極のプライバシーであり、本人の自由な意思を守るためです。
② 利害関係人であること
検索を依頼できるのは、以下のような方に限られます。
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法定相続人(配偶者、子、親、兄弟姉妹など)
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受遺者(遺言で財産を譲り受ける指定をされた人)
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遺言執行者(遺言の内容を実現する役割の人)
ステップ解説:公正証書遺言を検索する際の流れ
では、具体的にどのような手順で検索を進めればよいのでしょうか。4つのステップに分けて見ていきましょう。
ステップ1:お近くの公証役場へ行く
「父が東京で遺言を作ったみたいだけど、私は今大阪に住んでいる」という場合でも大丈夫です。
全国どこの公証役場からでも、全国のデータを検索できます。 わざわざ作成したと思われる場所まで行く必要はありません。
ステップ2:必要書類を準備する
ここが一番のポイントです。公証役場は公的な機関ですので、本人確認が非常に厳格です。以下の書類を漏れなく揃えましょう。
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亡くなった方の死亡診断書、または除籍謄本(亡くなった事実の確認)
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検索を求める人と亡くなった方の関係がわかる戸籍謄本(相続人である証明)
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検索を求める人の身分証明書(運転免許証やマイナンバーカード)
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認印(実印でなくても良い場合が多いですが、念のため確認しましょう)
ステップ3:検索の依頼(調査依頼)
窓口で「亡くなった親の遺言があるか調べたい」と伝えます。システムを使い、亡くなった方の氏名、生年月日、死亡年月日などを入力して照合します。
ステップ4:結果の確認
該当する遺言が見つかれば、「いつ、どの公証役場で、第何号の遺言書を作成したか」という情報が記載された回答書がもらえます。
遺言が見つかった!その次にするべきことは?
検索の結果、「確かに遺言書がある」と分かった場合、次のステップは「内容の確認」です。
謄本(コピー)の交付請求
検索でわかるのは「遺言があるかないか」と「どこの役場にあるか」だけです。
具体的な中身を知るためには、原本が保管されている公証役場に対して「謄本の交付請求」を行う必要があります。
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同じ役場で見つかった場合: そのままその場で請求できます。
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遠方の役場で見つかった場合: 郵送で請求するか、お近くの公証役場を経由して取り寄せる手続き(事務嘱託)が利用できる場合もあります。
検認の手続きは「不要」です
ここが公正証書遺言の最大のメリットです。自筆の遺言書の場合、家庭裁判所で「検認(けんにん)」という、中身を確認する儀式のような手続きが必要になります。
しかし、公正証書遺言は検認が一切不要です。
謄本を手に入れた瞬間から、すぐに不動産の名義変更(相続登記)や、銀行の解約手続きを進めることができます。
公正証書遺言の検索で「注意したいポイント」
スムーズに検索を進めるために、いくつか注意点を知っておきましょう。
令和2年以降の「自筆証書遺言書保管制度」との違い
最近、「法務局」でも遺言書を預かってくれる制度(自筆証書遺言書保管制度)が始まりました。
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公証役場: 公正証書遺言を検索する場所
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法務局: 自分で書いた遺言(保管制度利用分)を検索する場所
「公正証書で作ったはず」と思っていても、実は法務局に預けていたというケースも稀にあります。
もし公証役場で見つからなければ、法務局での検索も検討しましょう。
手数料について
検索自体には、それほど大きな費用はかかりません(数百円程度)。
ただし、謄本(コピー)を作成してもらう際には、枚数に応じた手数料が必要になります。
秘密保持のルール
公証人は、正当な理由がない限り、遺言の内容を第三者に漏らすことはありません。
また、相続人であっても、本人が亡くなる前は一切教えてもらえません。「生前にこっそり見ようとしたけれどダメだった」というお話も聞きますが、それは公正証書遺言の信頼性が高い証拠でもあります。
遺言書が見つかった後の不動産名義変更(相続登記)
遺言書が見つかり、中身を確認して「自宅を長男に相続させる」といった内容が書かれていた場合、次に待っているのが「相続登記(名義変更)」です。
相続登記の義務化を知っていますか?
実は、2024年4月から相続登記が義務化されました。遺言書がある場合、その内容に沿って速やかに名義変更を行う必要があります。
「遺言書が見つかったから、いつでもいいや」と放置しておくと、将来的に過料(罰金のようなもの)の対象になる可能性もありますし、何より次にその不動産を売却したり、担保に入れたりすることができなくなってしまいます。
遺言書がある場合の登記のメリット
遺言書がない場合、相続人全員の印鑑証明書や署名が必要な「遺産分割協議書」を作らなければなりません。
しかし、公正証書遺言があれば、基本的にはその遺言書と、指定された方の書類だけで名義変更が進められます。他の相続人の協力が得にくい場合でも、スムーズに手続きができるのは大きな利点です。
もし「遺言書が見つからなかった」らどうすればいい?
一生懸命探したけれど、公証役場にも法務局にも遺言書がなかった……。
その場合は、法律で定められたルール(法定相続)に従って手続きを進めることになります。
遺産分割協議のスタート
遺言書がない場合は、相続人全員で「誰がどの財産をどれだけもらうか」を話し合う「遺産分割協議」を行います。
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相続人の確定: 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を集め、誰が相続人かを漏れなく調査します。
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財産の調査: 銀行口座、不動産、有価証券などをリストアップします。
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話し合い: 全員が納得する形で分け方を決めます。
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協議書の作成: 決まった内容を「遺産分割協議書」にまとめ、全員が実印を押します。
遺言書がないと、この「話し合い」で難航するケースが少なくありません。
だからこそ、今この記事を読んでいるあなたが、もし将来の自分のために「家族を困らせたくない」と思われているなら、公正証書遺言を作成しておく価値は非常に高いと言えます。





