不動産の名義を「孫」に直接移すことはできる?方法と注意点

「長年大切にしてきたこの家を、可愛い孫に譲ってあげたい」

「子供世代はすでに持ち家があるから、これからの世代である孫に直接名義を移せないかしら」

不動産の名義を直接お孫さんに移すことは「可能」です。

しかし、法律の手続きは少し複雑で、何も知らずに進めてしまうと、思わぬトラブルや「こんなはずじゃなかった」という後悔を招いてしまうこともあります。

この記事では、不動産の名義を孫に移すための具体的な方法や、メリット・デメリット、「後悔しないためのポイント」を解説します。

 孫に名義を移す「3つ」の代表的な方法とは?

「名義を移す」といっても、実はその方法は一つではありません。いつ、どのような形で移したいかによって、選ぶべき手続きが変わります。まずは、代表的な3つの方法を見ていきましょう。

① 生前贈与(生きている間に譲る)

今すぐにでも名義を変えたい場合に選ばれる方法です。お孫さんとの間で「あげます」「もらいます」という契約を結び、法務局で名義変更(登記)の手続きを行います。

② 遺言(亡くなった後に譲る)

「自分が元気なうちは今の家に住み続けたい。でも、万が一の時は孫に譲りたい」という場合に適しています。遺言書を作成し、そこに「この不動産を孫の〇〇に遺贈する」と記しておく方法です。

③ 死因贈与(亡くなった時に譲る契約をする)

「自分が亡くなった時に、孫に名義を移す」という約束(契約)を、生前のうちにお孫さんと交わしておく方法です。遺言と似ていますが、「一方的な意思表示(遺言)」か「お互いの合意(契約)」かという点が異なります。

 なぜ「孫」への直接名義変更が選ばれるのか?

通常、相続は「配偶者」や「子供」へと順番に引き継がれていきます。それを一段飛ばして「孫」に贈るのには、実は大きなメリットがあるからです。

世代を一つ「ジャンプ」できる効率性

通常、親から子、子から孫へと名義を移すと、その都度、登録免許税(名義変更の際にかかる税金)や諸経費が発生します。 しかし、孫へ直接移すことができれば、この「中間のコスト」を一度分カットできることになります。これは、ご家族全体の資産を守る上でも大きな意味を持ちます。

孫の自立や生活を直接支援できる

「孫が結婚して家を探している」「孫に早めに資産を持たせて、責任感を持たせたい」といった、具体的な支援として活用できるのも魅力です。

若い世代にとって、不動産という基盤があることは、将来の大きな安心感につながります。

「生前贈与」で孫に名義を移す際の手順とポイント

「今すぐ孫の喜ぶ顔が見たい」という方に選ばれる生前贈与。その流れを具体的に見てみましょう。

ステップ1:贈与契約書の作成

まずは「誰が、誰に、どの物件を贈るか」を記した契約書を作ります。口約束でも成立はしますが、後々のトラブルを防ぎ、法務局での手続きをスムーズに進めるためには、必ず書面に残すことが大切です。

ステップ2:必要書類の収集

名義を移すためには、多くの書類が必要です。

  • あげる人(祖父母): 権利証(または登記識別情報)、印鑑証明書、固定資産評価証明書など

  • もらう人(孫): 住民票など

ステップ3:法務局への登記申請

書類が揃ったら、不動産を管轄する法務局へ「所有権移転登記」の申請を行います。

これが完了して初めて、法律的にも「孫のもの」として認められるようになります。

 「遺言」を使って孫に託す方法のメリット

「今はまだ自分で持っていたいけれど、将来は必ず孫に」という場合は、遺言書が非常に有効です。

孫は「法定相続人」ではない?

ここで少し難しいお話をしますが、実はお孫さんは法律で定められた「法定相続人」ではありません。(※お子さんが既に亡くなっている場合などを除きます)

そのため、遺言書がない状態で相続が発生すると、不動産は原則として配偶者や子供たちの話し合いで分けられることになり、お孫さんが受け取れる保証はないのです。

「孫に譲りたい」という確固たる意志があるのなら、遺言書を作成しておくことは必須だと言えるでしょう。

公正証書遺言のススメ

遺言書には自分で書く「自筆証書遺言」もありますが、お孫さんへ確実に名義を移すためには、公証役場で作成する「公正証書遺言」を強くおすすめします。 内容の不備で無効になるリスクがほぼなく、お孫さんが将来、複雑な手続きで困ることもありません。

知っておきたい「注意点」とリスク管理

お孫さんへの名義変更には、注意すべき点もいくつか存在します。

「遺留分(いりゅうぶん)」の問題

他の相続人(配偶者や子供)には、最低限受け取れる財産の取り分「遺留分」が認められています。

お孫さんに全ての不動産を譲ってしまうと、他の相続人から「自分の取り分が足りない!」と請求されてしまう可能性があるのです。

これを防ぐためには、全体の資産バランスを考えた設計が必要です。

未成年の孫への贈与

お孫さんが未成年の場合、親権者(お父さん・お母さん)が代理で契約を行う必要があります。

また、一度お孫さんの名義にした不動産は、例えおじいちゃんであっても勝手に売却したり貸したりすることはできなくなります。

将来お孫さんが成人した際、その資産をどう管理していくかまで見据えておくことが大切です。

よくある「こんな時はどうする?」ケーススタディ

より具体的にイメージしていただくために、よくある事例をご紹介します。

ケースA:住宅ローンが残っている家を孫に譲りたい

この場合は注意が必要です。多くの住宅ローン契約では、名義を変える際に銀行の承諾が必要となります。勝手に変えてしまうと「一括返済」を求められるリスクがあるため、まずは契約内容を確認することから始めましょう。

ケースB:複数の孫がいるけれど、一人だけに譲りたい

「長男のところの孫にだけ家を継がせたい」といったケースです。これは法律的には可能ですが、他のお孫さんやその親御さんとのバランスを考えないと、将来の親族関係にヒビが入る恐れがあります。

「付言事項(ふげんじこう)」といって、遺言書に「なぜこの孫に譲るのか」という想いを書き添えることで、納得感を高める工夫をした方がいいかと思います。

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